クイズの答え
Q.1
出題文: 私に欠けているのは、私は何をなすべきか、ということについて私自身に決心がつかないでいることなのだ〔中略〕私の使命を理解することが問題なのだ〔中略〕私にとって真理であるような真理、私がそれのために生き、そして死にたいと思うようなイデー(理念)を発見することが必要なのだ。
こたえ: キルケゴール
解説: 問題の文章は、デンマークの実存主義者キルケゴールの『ギーレライエの手記』の一節である。彼は、主体的真理を求めていくという生き方を実存と呼び、それをさらに美的実存・倫理的実存・宗教的実存の三段階に分けた。また、当時のヘーゲルを中心とした世界精神(絶対精神)の運動に個人は操られているに過ぎないとみた考え方に彼は強く反対し、主体的真理を求めていくという立場をとった。
Q.2
出題文: 科学的な理解が深まるにつれて、われわれの世界は非人間化されてきた。人間はもはや自然のなかに包まれていず、自然現象とのあいだの情動的な“無意識的同一性”を失ってしまったので、宇宙のなかに孤立していると感じる。〔中略〕人間と自然との触れ合いはなくなってしまったのだ。それとともに、その象徴的な結合が生み出していた深い情動的なエネルギーも、消え去ったのである。
こたえ: ユング
解説: 問題の文章は、スイスの心理学者・精神分析学者ユングの『人間と象徴』の一節である。彼は、人間の無意識の根底には本能的な性衝動や攻撃衝動のみでなく、意識の働きを導いてくれるような創造的な働きが潜在していると考えた。
Q.3
出題文: 自然は人類を二人の支配者の下においた。それは快楽と苦痛である。
こたえ: ベンサム
解説: 彼は、快楽の強度・持続性・確実性など七つの基準を立て、これらを尺度として快楽を量的に計算することが可能であると考えた。また、快楽の量が多いほど人間は幸福であり、できる限り多くの人がより多くの幸福を享受できるという、最大多数の最大幸福が実現できる社会が善い社会であるとした。
Q.4
出題文: 現実と無限の別も善悪や美醜の別も人間がつくりだした一定の価値にとらわれているから生ずるだけで、物事の真の姿ではないとし、万物は全て等しく一つであるという「万物斉同」の境地に立って自由に生きる人間である「真人」を人間の理想とした。
こたえ: 荘子
解説: 問題文の思想は、諸子百家の一人、道家の荘子が説いた内容である。
Q.5
出題文: 純粋経験においては未だ知情意の分離なく、唯一の活動であるように、まだ未だ主観客観の対立もない。主観客観の対立は我々の思惟より出でくるので、直接経験の事実ではない。直接経験の上においてはただ独立自全の一事実であるのみである、見る主観もなければ見らるる客観もない。
こたえ: 西田幾多郎
解説: 問題文の文章は、主客身分の「純粋経験」にこそ真の存在があると説いた西田幾多郎の『善の研究』に記されている。